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腎臓④

  • Category: 腎臓
  • 2022.11.11

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皆様こんにちは。相生町店の鈴木寛です。前回のコラムで予告したとおり、先日行った私の健康診断の結果が手元に届きました。

ジャン!!

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前回、腎臓の状態を把握するためには血液検査の結果のどこを見たらいいか、などと難しく考え、つらつら文章を書きましたが、、、
見てほしい項目のみしか載っていない!!(汗)
(どこをどう見たらいいか分かりにくい結果表が届くこともあるのですが、、、)

ご覧の通り、健康診断の結果から腎臓の状態を把握するために、血液検査ではeGFR(前回コラム参照)、尿検査では尿蛋白尿潜血を確認します。
ということで今回は、前回お話できなかった尿検査について、尿蛋白尿潜血に焦点を絞ってお話いたします。

尿蛋白

蛋白は体にとって必要な成分であるため、腎臓が元気な方では糸球体を通過せず、尿中にほとんど混じりません。しかし、腎臓が弱ると、弱った腎臓のはたらきを補うために体が腎臓に圧力(血圧)をかけ、その圧力によって、蛋白が本来通過できない糸球体を通過し、尿中に蛋白が漏れ出します。そのため、尿中の蛋白質の量を調べることは腎臓の状態の把握に繋がります。
蛋白が糸球体を通過すると糸球体に負担がかかり、弱った腎臓をさらに弱め、腎臓病の進行を早めることに繋がりますので、尿蛋白の発見は早ければ早いほどよいと考えられます。
腎臓が弱っていなくても、ストレス、疲労、睡眠不足、水分不足などによって尿中に蛋白が漏れ出すことはありますが、これらの条件に当てはまるからといって腎臓が弱っている可能性を否定できるわけではありませんので、尿に蛋白が混じったら甘く考えず、再検査や受診といった適切な対応をとりましょう(健康診断で尿蛋白が発覚した場合は、結果表とともに、その後の対応についての案内通知が交付されることと思います)。

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尿蛋白の検査には定量検査と定性検査があります。尿の中に蛋白がどれくらい含まれているか、定量検査では結果が具体的な数値で示されるのに対し、定性検査では「+」や「-」といった記号で示されます。定性検査では、尿検体の濃さの影響を強く受けてしまうため、慢性腎臓病(CKD)の重症度を評価する場合など、より正確な情報を必要とするときは、尿検体の濃さの影響を受けにくい定量検査の結果を用いることが望ましいとされています。
ちなみに、冒頭でお示しした自分の検査結果は定性検査によるものでした。一般的な健康診断で行われる尿検査は定性検査のようです。市販の尿検査試験紙も定性検査ですね。

ここで、前回のコラムのおさらいですが、CKDの定義は、
①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか
②GFR 60 mL/min/1.73m2未満
①、②のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する
でした。

ここでいう①の「尿異常」とは、「尿蛋白」や「尿潜血」のことです。前回のコラムで、GFRが低下するほど(腎臓が悪くなるほど)心血管病を起こしやすくなることを紹介しましたが、尿蛋白についても、量が多いほど心血管病を起こしやすくなることが知られています。これらをまとめると下表のようになり、矢印の方向に向かって心血管病にかかる危険性が高まることになります。

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CKDの重症度分類では、腎機能障害の区分と尿蛋白の区分を加味して病期が評価され、それら2つを組み合わせた形で表現されることになります。例えば、私の場合、eGFR 76.85、尿蛋白(-)でしたので、CKDの重症度は「G2A1」となります。
そして、病期に応じ治療方針が決められていくのです(詳細はのちのコラムで紹介します!!)。

尿潜血

腎臓が傷つくと尿に血液成分が混じることがあります。腎臓が元気な場合でも、わずかに血液成分が混じることはありますが、一定のレベルを超えた場合に尿潜血ありと判断されます。腎臓以外にも、尿管・膀胱・尿道など、尿の通り道のいずれかに傷や出血があると尿潜血が出現しますので、腎臓の状態を知るためには、尿潜血の結果だけでなく、尿蛋白の結果も確認することが必要となります。
 なお、尿潜血と尿蛋白が同時に出ている場合は腎臓病である可能性があるため、腎臓内科専門医への受診が望ましいと考えられます。一方、蛋白尿を伴わず、尿潜血が多い場合は、結石や癌の可能性もあるため、泌尿器科への受診が望ましいと考えられます。

今回のポイント

ご自身の腎臓の状態を知るために、尿検査の結果では「尿蛋白」と「尿潜血」の有無を確認する。

尿蛋白が多いと心血管病を起こしやすくなる。

尿蛋白が多い場合や、尿蛋白と尿潜血が同時に出ている場合は、腎臓病の可能性があるので腎臓内科を受診する。

尿潜血が多い場合は、結石や癌の可能性もあるため、泌尿器科を受診する。

これまでの4回のコラムで、腎臓が悪くなるとどうなるか、検査値をどのようにみたらよいかが分かってきました。

大事なのはここからです。
次回から、腎臓病の予防や治療について話をすすめていきたいと思います。

なお、ご自身が受けられた健康診断の結果からCKDの重症度を確認してみたい、このコラムを読んだけどイマイチ検査値の見方が分からない等々、気になることがある方は気軽に当薬局の薬剤師にご相談ください。処方箋をお持ちでなくても、歓迎いたします!!

今回もお付き合いいただきありがとうございました。