
こんにちは、やまうち薬局の吉田です。今日は糖尿病の検査値についてお話したいと思います!その中で、「糖=甘い=血糖値が上がる食べ物は甘い物」という誤った認識についても触れたいと思っています。
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こんにちは、やまうち薬局の吉田です。今日は糖尿病の検査値についてお話したいと思います!その中で、「糖=甘い=血糖値が上がる食べ物は甘い物」という誤った認識についても触れたいと思っています。
1 血糖値とは
2 ブドウ糖の役割と摂取
3 糖のいろいろ
4 糖尿病の検査値
皆様は会社の健康診断や特定健診を毎年受けられていますでしょうか?もしお手元に直近の検査データが有りましたら、その数値と照らし合わせてご覧いただけたらと思います。それではスタートです!
そもそもですが、「血糖値」とは何を意味するのでしょうか?字面からして「血の中の糖分の量」であることは想像に容易いかと思います。ではその「糖」って、何の糖かご存知でしょうか?
答えは「ブドウ糖(グルコース)」です。
ブドウ糖といっても、果物のブドウと直接関連しているわけでは有りません。名前の由来は諸説ありますが、私も本当のことは知りません。もしご存じの方がいらっしゃったら教えて下さい(^.^;
やや脱線しましたが、血糖値とは「血液中のブドウ糖の量」を意味するのです。
では、そのブドウ糖は体の中でどのような役割を担っているのでしょうか。
食べ物は体の中で細かく分解されてブドウ糖になり、小腸から吸収されます。その後、体や脳を動かすためのエネルギーとして消費されます。
実際に朝ごはんを抜くと仕事に身が入らなかったり、頭がぼーっとするような感覚がある方は、もしかしたらブドウ糖が不足しているからかもしれません。
今まさに受験シーズンですが、受験生のみなさんは特にブドウ糖の力を最大限利用しているのではないでしょうか?ブドウ糖は脳のエネルギーになるため、長時間勉強している方には今や定番のアイテムです。例えばラムネ菓子はその殆どがブドウ糖でできているので、勉強のお供に欠かせません。東京大学の売店ではラムネがものすごく売れているという話も大変有名ですね。私も学生の時分はテスト勉強中・テスト直前に口にしていたことを思い出します。
また、ブドウ糖の一部はグリコーゲンという糖の塊になって筋肉や肝臓で蓄えられます。人間はブドウ糖なしには生きられないので、仮にブドウ糖が不足すると蓄えたグリコーゲンをグルコースに戻して利用するようにできています。糖質制限ダイエットはその原理に則ったものですね(決して糖質制限ダイエットを推奨しているわけでは有りませんのでご注意下さい)。

前置きが長くなりますが、糖の事をもう少しだけ解説させて下さい。
糖と言っても、大きな糖から小さな糖まで色々な種類があります。その中でもブドウ糖は「単糖」といって、糖のうちで最も小さなグループに含まれます。単糖は、この他に果糖・ガラクトースがあり、これらが次のような形で組み合わさった状態で存在しています。
この辺りは、もしかしたら化学が得意な高校生の方が詳しいかもしれませんね。
これら食品を摂取すると、
①体の中で分解され
②単糖という小さな単位になって
③血液中に溶けて体中に運搬され
④生命活動に利用される
というステップになります。
糖を吸収し利用するにはまず単糖にまで分解される必要があるので、血糖値が上がるまでは少し時間がかかります。一方、単糖のブドウ糖(例えばラムネ菓子)をそのまま食べればすぐ吸収されるので、利用されるまでの時間が早いというわけです。
M永製菓の回し者では有りません!(汗)
ここで改めて考えてみて下さい。 みなさんが普段召し上がっている食品の中で血糖値を上げそうなものが想像できますでしょうか?
血糖値(血液中のブドウ糖の量)を上げるのは、そうです。「デンプン」、つまり「炭水化物」なんですね!!!
糖尿病の患者さんで、このことを誤解されている方が少なくありません。
例えば、 「努力しているのに血糖値がさがらないのよ。甘いお菓子を我慢して、しょっぱいお煎餅にしたのに...」 という相談を受けたことがあります。
お煎餅はお米でできているので、ブドウ糖の塊なんですよね。糖尿病という言葉から、つい「糖=甘い物」という思い込みに至ってしまったようです。
他にも、お煎餅以外ではポテトチップスやパンを甘い食べ物の代わりに選ばれていたケースがありました。皆様も、口に入れたときに甘いかどうかではなく、ぜひ原料が何かを意識してくださると良いかと思います。

空腹時血糖値 120mg/dL以上になると糖尿病と言われています。
この単位は、「1デシリットル(dL)の血液に、◯mgのブドウ糖が溶けているよ」という意味です。
血糖値は食事の種類だけでなく、量や食べ方によっても変化してしまいます。つまり、食後の血糖値はばらつきやすくなります。そこで、糖尿病の1つの目安として「空腹時」に血糖値が高いかどうかを検査しています。前回の復習になりますが、空腹時に血糖値が下がっていないということは、インスリンが効きにくくなっているということが考えられます。
HbA1cは、直近1−2ヶ月の血糖値の平均を表す指標です。簡単に説明しますと、血液中のヘモグロビンに糖がくっついている割合をみています。割合なので、単位は%です。糖がくっついたヘモグロビンの割合が多いほど、血糖値が高い証拠になります。ときどき健康診断のために前日ご飯を抜いたりされる方がいらっしゃいますが、残念ながらHbA1cはその影響を受けないのです...
HbA1cの基準値は 4.6〜6.2%で、6.5%以上になると糖尿病が強く疑われます。
HbA1cについてもう少し詳しく知りたい方は、下の色枠部分をご覧いただければと思いますが、すこし難しいかもしれませんので読み飛ばしていただいて結構です。
ヘモグロビンが血液中の糖とくっつくと、糖化ヘモグロビンになります。一度糖化すれば、寿命が尽きるまで糖化した状態でいます。そこで、HbA1c= 糖化ヘモグロビン量/ヘモグロビン全体量(%)で求めることができます。
更に、ヘモグロビンの寿命が約120日であることから、概ね1−2ヶ月の指標として有効であると判断されています。ちなみに、透析患者さんはヘモグロビンの寿命が通常より短いため、透析患者さんにとってHbA1cは指標としては有効な指標ではないとされています。

どちらの値も、健康診断などで眼にするのではないでしょうか。むしろ、健康診断以外では中々検査する機会もないですよね。
薬局でも「血糖値をはかりたい。どこかで測れるところはないか?」とご相談いただくこともあります。
近い将来、薬局でも血糖測定のイベント実施も検討してみたいと考えています。実施の折には改めてご報告させていただきたいと思います!
そして次回からは「糖尿病の治療薬」についてお話したいと思います。それではまた!
☆血糖値の糖はブドウ糖
☆ブドウ糖は生きるために必要不可欠なエネルギー源
☆炭水化物はブドウ糖の集合体
☆糖尿病の検査値には主に「空腹時血糖値」と「HbA1c」がある