薬剤師コラム

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高血圧①

  • Category: 血圧
  • 2022.07.22

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皆様こんにちは。やまうち薬局の吉田萌生(ほうせい)と申します。
この度のホームページリニューアルに伴い、新たに薬剤師コラムを開始させて頂くことになりました!!

日々の生活にまつわる病気や薬の情報について、なるべく分かりやすい表現で投稿していけたらと考えております。投稿は私、吉田だけでなく、各店舗の薬剤師からリレー形式的に投稿していく予定です。これからどうぞよろしくお願いいたします!
さて、記念すべき第1回目のテーマは「高血圧」です。一般的なテーマではあるものの、1回のコラムでは収まりきれない分野です。今回から複数回にわたり投稿をさせていただきます

そもそも「血圧」とは何でしょう?

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医療機関に受診したり健康診断を受ける場面で、皆さんが最も最初に測定するものといえば「血圧測定」ではないでしょうか。

血圧といえば「高いと良くない。」「塩分を摂りすぎると血圧が高くなる。」ということはイメージしやすいフレーズかと思います。これらのイメージは一般的すぎて特に不思議に感じることもないかもしれません。

では、その血圧の意味って何なんでしょうか?今回はこの「血圧」について深掘りしてみたいと思います。詳しく述べませんが、高血圧が良くない理由、塩分を取ると血圧が高くなる理由などはいずれ解説したいと思います。

少し脱線しますが、血圧を解説するのであれば、まずは血液の役割を整理する必要があります。血液には、主に次のような役割があります。

  • 体に酸素や二酸化炭素、栄養素、ホルモン、老廃物などを運搬する。
  • 怪我による出血を防いだり、細菌やウィルスと戦い体を守る。
  • 体温を調節する。

このように、どれをとっても血液の役割は重要で、生物にとって欠かすことのできない存在だと言えますね。厳密には、血液は白血球・赤血球・血小板などの成分から構成され、それぞれが役割を持っています。各成分の詳しい役割については、別の機会に解説したいと思います。

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ではその血液は、どのように体の中を巡っているのでしょうか。

御存知の通り、心臓がその役割を果たしています。心臓が収縮することで車のエンジンのように血液を体内へ送り出します。一般的に心臓は1日に約10万回の収縮を行っていると言われています。ちなみに私は36歳なので、心臓は13億回以上働いてくれている計算になります。心臓さん、ありがとうございます!

心臓の動きは、常に一定ではありません。安静にしているとき、運動しているとき、寒いときや暑いとき、緊張しているときなど、様々な条件で変動します。それは体の中で酸素が必要だったり、体を温める必要があったり、血液の助けがどう必要かによって変化しています。血液をたくさん送らなければならないときは心臓は一生懸命に働き、リラックスしているときは緩やかに働いています。血液は血管を通りますので、その働き度合いによって血管に対する圧力が変わります。
つまり「血圧」とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のことと言えますね。

少し視点を変えてみましょう。血圧は血管の壁を押す力ということですから、押される側の血管の柔らかさ(硬さ)も血圧に関わっていることが想像できますでしょうか。一つ、覚えておいてください。

「上の血圧」「下の血圧」って?

患者さんとのやりとりで「上の血圧は〇〇〇だったよ。」という会話は日常茶飯事です。高血圧の治療をされている皆様はご自身の血圧に関心を持ってくださり、普段の生活でも血圧が高くならないよう意識してくださっています。私たちもそれを元に、高血圧薬の効果を評価したり、副作用の確認を行っています。特にご家庭で測定してくださった情報を知ることができると、大変参考になります。もし毎日測定されているようでしたら、ぜひ薬剤師にご共有ください。

ここで質問です。いわゆる「上の血圧」「下の血圧」とは何のことなのでしょうか。なんとなく高い血圧と低い血圧ということは理解できるかと思いますが、どんな理由で高いのか(低いのか)を想像できますでしょうか。次はこの2つの血圧について解説します。

上の血圧のことを「収縮期血圧」と呼びます。

心臓が収縮して血液を送り出したとき、血管には最も力がかかった状態になります。よって、このとき血管には最も圧がかかる、つまり、血圧は最も高くなるのです。

反対に、下の血圧は「拡張期血圧」と呼びます。

心臓が次の血液を送り出すために拡張すると、血管を押す力はない状態ですね。よって、低い血圧を示します。

つまり、血圧測定は心臓が収縮・拡張することによる最高値と最低値を見ているわけです。言い換えれば、心臓の働き具合を見ている、と説明する事もできますね。

ところで、血圧の単位はご存知でしょうか?圧力といえば「Pa(パスカル)」を思い浮かべる方が多いかと思います。

血圧は「Pa」ではなく「mmHg」と表記し、「ミリメートル エイチ ジー」または「ミリ水銀」と読みます。これは血圧1mmHgあたり、水銀を1mm垂直に押し上げる力が働いていることを意味します。

なぜ水銀かというと、それは世界で初めて誕生した血圧測定器に由来しています。血圧測定器の誕生は1986年、イタリア人医師のリバ・ロッチによって発明されました。その測定器では水銀が用いられていたことが、この単位の所以です。

ちなみに私の今日の血圧は117mmHg/75mmHgでした。なので、私の最高血圧は水銀を地上から11.7cm押し上げるということですね。(大体CDの直径くらい)

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それでは、今回のまとめです。

血圧とは、血液が血管の壁を押す力のこと。 

血圧は常に一定ではない。         

血圧には、収縮期血圧と拡張期血圧がある。

第1回は以上となります。次回は、高血圧ガイドラインに沿って、高血圧の基準について解説いたします。最後までお読みいただきありがとうございました。